「復委任が廃止」は本当か

まず、うわさと事実を分けます。2026年6月時点で、復委任の廃止は決まっていません。オンライン請求の中間とりまとめでは、復委任団体は関与しない仕組みとすべきだという意見が出た一方で、小規模な施術所が多いことなどを踏まえ、一定の条件のもとで代理請求だけは認める案も示されています。両方が並んだまま、引き続き検討するという段階です。

「廃止」という強い言葉だけが先に広まりがちですが、正確には「関与しない案」と「代理請求だけ残す案」を比べている途中です。どちらに固まるかは、これからのワーキング・グループと専門委員会の議論で決まります。今の段階で、団体との関係を慌てて切る根拠にはなりません。

そもそも復委任とは何か

議論を読むために、仕組みを押さえます。受領委任では、患者が施術管理者へ療養費の受領を委任します。その施術管理者が、さらに所属する団体などへ受領を再委任するのが「復委任」です。都道府県の柔道整復師会への受領委任のほか、民間の請求代行業者(復委任団体)に再委任して、その団体が療養費を代理で受け取っている場合もあります。

団体は、この再委任を受けて、請求事務の代行や保険者とのやりとりを担ってきました。一人や少人数で院を回す柔道整復師にとって、請求の手間を引き受けてくれる存在です。だからこそ、復委任の扱いが変わると、現場の事務とお金の流れの両方に響きます。

オンライン請求で、お金の流れはどう変わるか

議論の中で、すでに固まっている方向があります。それは、支払を施術所へ確実に届けることです。オンライン請求を導入する目的の一つが、施術管理者(施術所)への確実な支払と、請求代行業者などによる不正の防止だからです。

項目方向(中間とりまとめ)
振込口座施術所ごとに審査支払機関へ事前登録して管理
施術所の管理施術管理者番号は残し、施術所単位の管理を新設
支払先支払は施術所に対して行う方向
受領委任制度法令は改正せず、現行の仕組みを維持

出典: 厚生労働省「柔道整復療養費のオンライン請求導入等について(中間とりまとめ)」令和7年3月12日(2026年6月5日確認)。

これまでは支給申請書ごとに支払先の口座を確認していましたが、これを施術所ごとの事前登録に変えます。施術管理者番号は残したうえで、施術所単位の管理を新しく作るとされています。お金は施術所の口座へ直接、という流れがはっきりするほど、団体が代理で受け取る形の意味は薄れていきます。

残すか、なくすか。二つの案

争点を二つの案に整理します。どちらになるかで、団体との付き合い方が変わります。

中身
関与しない案不正防止の観点から、復委任団体は関与しない仕組みとすべきという意見
代理請求だけ認める案介護・障害福祉の例(代理は請求のみ、支払の代理受領は認めない)を参考に、条件つきで復委任を認める

出典: 同上(2026年6月5日確認)。代理請求だけ認める案の条件として、施術所ごとの請求・支払の明細が明らかであること、団体は代理請求のみを行い、支払は施術所に対して行うこと、などが挙げられています。

共通しているのは、団体が療養費を代理で受け取る形は狭まる、という点です。なくす案なら団体は請求に関わらず、残す案でも、団体ができるのは代理請求までで、お金は施術所へ直接入ります。どちらに転んでも、団体が「お金を受け取って分配する」役割は小さくなる方向だ、と読んでおきます。

団体に払う費用と役割を見直す

方向が見えたら、足元の費用対効果を確かめます。団体に払っている手数料や会費に対して、団体が何をしてくれているかを並べます。

支払が直接になると、団体の価値は「事務とサポート」に絞られる お金の代理受領がなくなる方向なら、団体に残る役割は、請求事務の代行、保険者とのやりとり、算定や指導監査への相談といったサポートです。手数料がこれらに見合っているか、オンライン請求になっても必要な支援かを、いま一度並べて確かめておきます。

オンライン請求になると、請求事務そのものはレセコンとシステムで回る部分が増えます。団体に頼ってきた事務が、自院とソフトで完結する範囲が広がるかもしれません。そのとき、手数料に見合う価値が事務代行だけなのか、相談やサポートにあるのかで、続けるかどうかの判断が分かれます。

団体委任を、これからどうするか

判断材料がそろったら、動きは控えめで足ります。決まっていないことを前提に、備えだけ進めます。

今やる

  • 団体に払っている手数料・会費と、団体が担っている事務・サポートの中身を書き出す。
  • 自院の振込口座を、施術所ごとの事前登録に出せるよう確かめておく。
  • 復委任の議論の続きを、団体や厚生労働省の発表で追える窓口を一つ持つ。

まだやらない

  • うわさだけを理由にした団体からの脱退。廃止も最終的な仕組みも決まっていません。
  • 団体に代わる請求代行への急な乗り換え。新しい仕組みが固まってからで間に合います。

復委任の廃止は決まっていません。決まっているのは、支払が施術所へ直接届く方向と、団体の代理受領が狭まる流れです。今すぐ団体を抜ける場面ではありません。手数料と役割を並べ、口座の事前登録に備えながら、議論の行方を一つの窓口で追う。固まったときに動けるようにしておけば足ります。

よくある質問

復委任は廃止が決まったのですか?
決まっていません。中間とりまとめでは、関与しない案と、条件つきで代理請求だけ認める案の両方が示され、引き続き検討するとされています。どちらに固まるかはこれからの議論です。
今すぐ団体を抜けるべきですか?
その必要はありません。最終的な仕組みが未定だからです。今は、手数料と団体の役割を確かめ、施術所ごとの口座の事前登録に備えておくのが確実です。
お金の流れはどう変わりますか?
支払を施術所へ確実に届ける方向です。支給申請書ごとの口座確認から、施術所ごとに振込口座を事前登録する形に変わります。施術管理者番号は残し、施術所単位の管理が新設されます。
代理請求だけ認める案とは何ですか?
介護・障害福祉の例(代理は請求のみ、支払の代理受領は認めない)を参考にした案です。施術所ごとの明細が明らかであること、団体は代理請求だけを行い、支払は施術所へ行うこと、といった条件が検討されています。
団体に払う手数料は無駄になりますか?
代理受領が狭まっても、請求事務の代行や算定・指導監査の相談といったサポートは残ります。手数料がこれらに見合うかを並べて確かめ、オンライン請求後に必要な支援かどうかで判断します。

出典

SOURCES | 一次情報
  1. 厚生労働省「柔道整復療養費のオンライン請求導入等について(中間とりまとめ)」令和7年3月12日 mhlw.go.jp/content/12601000/001467878.pdf (2026年6月5日確認)
  2. 厚生労働省「柔道整復療養費のオンライン請求導入等に関するワーキング・グループ」開催状況 mhlw.go.jp/stf/shingi/hoken_system_wg_00003.html (2026年6月5日確認)

本記事は検討段階の中間とりまとめをまとめたものです。復委任の最終的な取扱いは、今後の議論と告示・通知で決まります。判断にあたっては、必ず厚生労働省の最新の発表と、所属団体・保険者の案内で再確認してください。

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